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5.3.3 実船計測と理論計算結果
図5.3.1に4次航の船体中央部、7次航の機関部の応力計測値の復航について時系列(ρLH0)および標準偏差(ρLH)から求めた相関係数を比較した1例を示す。荷重間の相関係数は(A)の各荷重間の時系列データから求めるのが直接的で正確な値が求められるが、同時に多くの時系列データを記憶させるには大量の記憶領域が必要となる。これに対して(B)の標準偏差から相関係数を求める方法では、あらかじめ船上のオンライン計測時に統計解析を行い各荷重の変動量の標準偏差だけをデータとして記録しておけばよいから記憶領域はわずかでよい。また、この方法は荷重の長期データ間の相関係数を求めるときにも応用できる。
図5.3.2に7次航の機関部の各荷重の相関係数の短期分布における理論計算値と実船計測値との比較の1例を示す。図の●印は時系列データからの計測値である。また、計測値の波周期は波高計の解析による周期である。7次航はほぼ向い波状態であるので、相関係数の理論計算値は180、150、120度の値を記入した。波高計による波向きは目視値と必ずしも一致していないが、ほほ向い波と考えると、計測値は240〜180〜120度の理論計算値の範囲と比較するのが適当と言える。
長期分布の超過確率が10-4に対応する荷重間の相関係数の結果を図5.3.3に示す。計測データは向い波状態のものであるので180度を中心に左右舷の30度の範囲にプロットをした。

 

5.3.4 長期分布の相関係数の近似推定
長期予測と短期予測の相関係数の関係を調べ、以下のようなことが明らかとなった。
(a)長期予測において、2種類の応力の合成応力の極値は、その主成分の応力の極値の海象の性質が支配的である。
(b)長期予測の応力の極値は、短期予測の最大値Rmaxの値より計算できる。
(c)短期予測の最大値Rmaxは、波スペクトルと応力応答関数の極大値どうしが重なり合う広義の同調現象に対応する。このときの波スペクトルの平均波周期がTmaxである。
これらの結果から、長期予測における合成応力の極値は主成分応力の応答関数が広義の同調現象になるときの応力応答が支配的であると言える。

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長期分布の相関係数は、主成分の応力の応答関数が最大となる時の他成分の応力との位相差で近似できる。結果を図5.3.4に示す。定量的にはまだ若干の差はあるが、定性的な相関係数の針路に対する変化は十分説明できている。

 

5.3.5 あとがき
A船の垂直曲げ、水平曲げ、ワーピング、軸応力のそれぞれの応力の相関係数を短期不規則波浪中および長期分布について検討し、以下の結果を得た。
(1)各応力の規則波中の応答関数からISSC波スペクトルを用いて短期不規則波浪中の応力の相関係数を理論的に計算した。
(2)A船の各応力の短期計測データから相関係数を(A)時系列データから計算する方法と(B)標準偏差から計算する方法により解析した。(B)の標準偏差から計算する方法は時系列データとほぼ一致し、計測結果の記憶領域を少なくすることができ有利な方法である。
(3)短期波浪中の相関係数の理論値と計測値を比較したところ、おおむね両者は一致した。
(4)各応力の長期分布を遭遇波浪データから計算し、各応力の同一超過確率レベルの極値間の相関係数を計算した。

 

 

 

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